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放蕩記(村山由佳)感想&書評!著者の自叙伝的作品、重い母の存在が全面に打ち出されています(ネタバレ注意) #小説


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共感し、涙して、少し救われました。

村山由佳『放蕩記』を購入しました。
もともと村山由佳さんの作品が好きで、こちらも気になっていたのですが、ハードカバー版のあまりの分厚さに圧倒されて、文庫版が出るまで待っていました。
しかし、今ではなんでそんな長い期間この本を読まずに来たのかと、後悔をしています。
著者の自叙伝的なこの作品では、いままでも作品の端々で影を落としていた、重い母の存在が全面に打ち出されています。
古い、自分の価値観を主人公に押し付け、主人公の成功を羨み、さも自分のもののように語る母。
それに抵抗し、離れようとしながらも、心の何処かでまだ母の愛を求める主人公。
読みながら、自然と涙が出ました。
主人公に共感すると同時に、彼女ほど強くなれない自分を反省しました。
主人公は完全な愛を求めて、様々な男性の間を彷徨います。そして最後に手に入れた歳下の男の存在、そして母の病により、主人公と母との関係は若干の改善がみられます。
泣いたせいでぼんやりとしながらも、私もいつか、自分の母のことを受け入れられるのかな、と頭の端に浮かびました。
『母を愛せないのは、私の罪なのか』というキャッチフレーズ通りの、重く、常に迷わされる作品です。
でも、だからこそ迷える大人たちの道標になるのだと思います。