「砂の女」 安倍公房 安倍文学の最高傑作です
安倍公房の作品にたびたび登場するシチュエーションに何か人間にとって大切なものを失うというものがあります。
そして、その何かを失った主人公の心理がだんだんと変化していく過程が面白いと思っているのですが、今回のこの「砂の女」では、厳密にいえば何かを失ったわけではないのですが、失っています。簡単に説明すると、主人公が昆虫採集に訪れた砂に囲まれた村落に宿泊するのですが、その主人公がその宿に閉じ込められてしまい、家に帰れなくなるというお話なのですが、その閉じ込められた宿の中に一人の女がいるのですが、その女と日々を過ごす中で、主人公の心理に徐々に変化が生まれていきます。安倍文学の特徴はわりと不思議な題材を扱ってはいるものの、そこには一貫した自己喪失や再生といったテーマが存在しており、そこに読者が自己を投影するのが読んでいる中での楽しみでもあります。安倍文学はよく難解だと思われている方もたくさんいるかもしれませんが、こんなに面白い小説を読まないのは私は損だと思います!
ありがとう寄稿。
湊かなえさんの本は、ちょっと怖さがありながらも続きを読まずにはいられないものが多くて好きですが、この作品もそうでした。
感想・書評「リバース:湊かなえ」ネタバレ注意・コーヒーを飲むことだけが趣味という、ちょっと地味めの主人公の男性が(レビュー)。 #読書 - みんなのブログ。